「知識権威」の洞察と思考の不足

EA/HECP世界中に群発的な「STAND」が起きる。


地球の裏側の出来事と私たちの日常生活が結びついていることを、今ほど鮮烈に実感できる時代はない。世界各地で群発的に発生する紛争や災害の数々、それにより、今後数十年間で、人々の心の中に地球規模の意識が出現するであろうというのが私たちの時間性であり、その主導権はまだ自らの手の中にあると思っていた。しかし、その本質や大きさは今のところ分からないが、数年後には、世界は距離がなくなり、クラウド・シンキングのその新たな意識は、私たちに論理的な結論をもたらすだけでなく、他の人々のタスク(行動)を通じて、世界中で群発的に発生する。「STAND」という運動は別に誰かがそうしよう、と決めるわけでもないし、主導するような社会理論があったわけでもない。集団的な叡智が発動するときというのはそういうものである。世界各地の相互に無関係なエリアで群発的に発生する紛争や災害という謂れのない苦難に対して、パブリックネスに同じ行動を取る。それが「STAND」である。これから起きようとしているのはそれである。

私たちが形象を目指すパラダイムシフトの起算点を数十年後(2050年前後)と想定していたが、私たちが予想する以上に、世界は大きな変動に向かって動き出しているのかもしれない。世界を見渡してもアメリカ・トランプの台頭をはじめ、イギリスの「EU離脱」、「反EU」のムーブメントはイタリアでの「五つ星運動」でも、「国としての主導権を回復する」と標榜する奥には、実際は「これ以上移民・難民を受け入れられない」という通底したメッセージが 存在する。

トランプはメキシコ国境に壁を作る!」「イスラム教徒の入国を禁止する!」など排外主義的な言動で耳目を集めるが、累進課税や富裕層への課税拡大を通して所得格差を是正する、社会保障の拡充のため反緊縮路線に舵を取り積極的に財政出動することを辞さない

、ワシントンの既成勢力に媚びないなど、意外にも、一国社会主義的なと立ち位置で、新たなアメリカという立体を見事に再構築していく可能性は低くない。

これは、アメリカという〝場面〟で展開される〝エスタブリッシュ〟と〝マルチチュード〟の囲碁戦であり、アメリカ大統領は「チェス」の王様ではなく、トランプも一つの「囲碁」の駒に過ぎないのだ。

日本の知識層は、従来の価値観や常識から逃れることが出来ず、〝大統領の思いつきだけで国は動かない。〟

〝トランプの言っていることは実現しない。〟というような教科書通りのコメントしか出来ない。これでは、全くAIロボットより次元が低いと言わざるを得ない。彼らはビッグデータにおける「定数」の処理を繰り返すだけで「変数」が理解できない。過去の「判例」に縛られ、時代の要請を想像力で形骸である法律に精神を注入出来ずに右往左往する法律家と二重写しである。

だいたい、そんなことくらいは、トランプ自身もわかっている。専門家のもっともらしい評論は、アメリカという「仕組み」に対する妄信と視野狭窄からくる、意識の指向性による意味づけと思い込みに過ぎない。こんな構造はいとも簡単に壊れる。トランプの日本に対する「在日米軍撤退」は、ブラフでも商談でもない、紛れのない外交なのである。

「チェス」の駒は、その役割に応じてコードに沿った動きをするが、これに対して「囲碁」の駒には戦線もコードもなく、戦略如何によって、いかなる地点にも出現しうる。トランプの棋風は答えの出ないところで強さを発揮する。「自分にしか打てない」「打ちたい所に打つ」を信条とし、あらゆる〝場面〟を自在に打ち分け、自分が最善と思った手は愚形や悪形であっても常識に囚われずに打つ。勝負手を発見すると時間を惜しみなく使い切る。

トランプという「囲碁」の駒はそれは決して、「駄目」などではなく、状況を劇的に変化させるアメリカという国家の再構築のための「捨て石」なのである。


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