電柱が「地上」にあろうと、 「地中」にあろうと都市の形成は可能だ。

無電柱化はまさに、現存する資源やシステムの活用のイメージが掴めない美的感覚が硬直した「議員たち」の方便にすぎないのである。


電柱が地上にあろうと、 地中にあろうと都市の形成は可能だ。


電柱地中化法案(無電柱化推進法案)は、電柱がなくなるとあたかもバラ色の世界が広がるような『電柱悪』を前提とした稚拙な議論だ。

アイデアがないから、スクラップ・アンド・ビルドで、とりあえず壊してみようというのは極めて幼稚で無責任であり、成熟した情報技術社会においては、大体のことは壊さなくても創造することは可能である。

電柱はその機能性とは別に、実は造形オブジェとしても、立派な工業系アートであり、世界的建築家のコンクリート打ちっ放しの作品や世界的現代美術家の博覧会のタワーにも決してひけをとらない、20世紀の時代を象徴する歴史的なレガシー遺産になりうるアートな建造物である。無電柱化はまさに、現存する資源やシステムの活用のイメージが掴めない美的感覚が硬直した「議員たち」の方便にすぎないのである。


ロンドン、パリは無電柱化100%


世界の無電柱化率は英・ロンドン、仏・パリは100%を実現しており、香港も100%、台湾・台北も95%とアジアでもかなり達成されている。一方で、日本国内は東京23区で7%、大阪市で5%にとどまっている。


東京都の電柱を全て地中化すると12兆円かかると言われている。

「電線地中化は10倍のコスト」「景観向上や災害対策に」無電柱化の利点と課題


都市景観の向上などを目指し、道路上の電柱などをなくして地中に電線を埋設する「無電柱化(電線類の地中化)」の議論が活発化しています。自民党の「無電柱化小委員会」(小池百合子委員長)はこのほど、新規に整備する道路での電柱や電線の設置を原則禁じるなどの法案をまとめ、今国会で論議し、来年4月の施行を目指す方針を打ち出しました。無電柱化が進んでいる欧州の主要都市などと比べ、日本は大きく立ち遅れていると指摘される一方、電線を地中に埋めるコストが高く、なかなか進んでいない側面もあります。(THE PAGE)


「電線地中化は10倍のコスト」「景観向上や災害対策に」無電柱化の利点と課題


(1)都市景観の改善(2)地震などの災害時に電柱が倒れたり、電線が垂れ下がって道路などをふさぎ、物流などをさまたげる恐れをなくす(3)現状では電柱が歩道幅などを狭めており、無電柱化によって車いすなどが通りやすくなり、バリアフリー化が進む――という3点が指摘されている。


プライオリティの高い問題が多く存在する。


しかし「審美的」なアプローチであるならば、やはり、現在ある資源を有効に利用するという発想が重要である。新日鉄住金小倉製鉄所(北九州市小倉北区)では、天を突き刺すように伸びた煙突が、赤く染まった夕焼け空に映える。鉄鋼業の街の象徴として「アイアンツリー」と呼ばれ、市民に親しまれているというようなケーススタディもあり、「美観」のためだけの無電柱化に多くのコストをかけるよりも、学校や公共インフラにおいてもまだまだ解決しなければならない、プライオリティの高い問題が多く存在するのも事実なのである。

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