相応の義務以上のことをしよう。将来後ろめたい思いをしなくて済むように、将来子どもや孫に、「2000年代初期、温室効果ガスの排出がコントロールしきれなくなった時に、お父さん(おじいちゃん)は、何をしていたの。」と聞かれた時に備えて、答えを用意しておくことだ。
『2052年までの道筋は、パラダイムが転換する時代の常で、無秩序で闘争に満ちたものとなるだろう。旧システムの信奉者で、化石エネルギーに依存し続けようとする経済成長支持派(プロ・グロース)は、自分たちが「正しい解決策」と見なしていることを維持し、自らの特権を守るために、断固として戦うだろう。その正しい解決策とは「従来通り」である。「技術も行動も変える必要はない」とかれらは言うが、新しい技術は何もないところからふいに生まれるものではないということを彼らは忘れている。石油の枯渇、過剰な温室効果ガスの排出、継続する貧困、生物多様性の崩壊といって深刻な問題が現実となるまで、解決に向けた第一歩が踏み出されなければ、その間に、気候問題の最前線では必ずこうしたプロ・グロースによる抵抗が起きる。
人類は、エネルギーと気候変動の問題に対処するために、エネルギー強度を減らし、再生可能エネルギーへの移行を進めようとするが、そもそも真っ向から懸命に取り組むわけではないのでスピードは遅い。プロ・グロースたちは技術革新と市場原理に任せておけば問題は自ずと解決されるという妄想にしがみつき、すのスピードはさらに遅らせる。プロ・グロースに対抗するのは、持続可能性を高めようとする個性豊かな人々で、唯一の共通点は、遠い未来を見据えているということだ。
持続可能性を求めるこのグループは、最終的に勝利するが、それに年月がかかり、地球のダメージを避けることはできない。彼らが勝利を収める頃にはすでに、気候変動、資源の枯渇、生物多様性の喪失、不公平の増大による地球の破壊ははっきり目にみえるようになっているだろう。もはや、未来に希望が持てなくなった頃に、ようやく彼らは勝利するだろう。持続可能な解決策の必要性が学問上のトピックではなく、窓の外に広がる現実となった時に、もっと正確に言えば、百万都市の安全な地域の外側で、四半世紀にわたって異常気象にさらされ、ぼろぼろになった生態系を見るようになってようやく、プロ・グロースたちに勝つことができるのだ。』
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