BIHS『二世帯社会』 バイラテラル・ホームソサエティー(2)

ホームエレクトロニクスカフェ・プログラム(HECP)は

「芸術」を通して、地域の中での役割や地域との関係が再構築される。

地域の人々とによる、コンソーシアムやワークシェアリングで、一緒にホームエレクトロニクスカフェ・プログラム(HECP)を構成するというアプローチの背景には、行政による配食サービスや登録ボランティアによる見守りの制度などが推進される一方で、地域の近所付き合いは減り、町会や敬老会の組織率は年々低下しているという現実がある。そこで自助と共助の力を見直そうという動きが出てきた。私たちは、自助、共助、公助のすべてが活発に機能することが必要であり、ホームエレクトロニクスカフェ・プログラム(HECP)はその取り組みの1つであり、高齢者の自助を主体とした独創的なアプローチを展開している。

行政の見守りサービスは行政が内容を決め、市民にその決められた内容を委託する一方向的なものである。HECPの場合は、市民が地域づくりの主体として自ら運営し、内容を工夫する。地域の高齢者の人材を活用し、 高齢世代には会社勤めを終えた企業の各部門のプロ、料理上手な主婦、クリエイティブな自営業、研究者など様々な高齢者が点在している。その皆さんがHECPをきっかけにして出会い、退職後役割がなく家に閉じこもりがちだった方がHECP運営に関わる中で自分の役割を見出し、生活に活気を取り戻すなど見違えるように生き生き。高齢だからといって、皆が人に世話されることばかり望んでいるわけではない。それよりも、仲間と健康に楽しく生活したい、社会貢献したい、社会の認知を得たいという意欲のある方が多いのである。地域に暮らす人間同士の対等な関係から生まれるやりがいや楽しさという求心力を高齢者自身の手により構築していくということがHECPの存在理由である。

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