自己学習によるクラウド上の学校ー HECPー「蒲生三丁目の家」 世界を変えるインスタレーションアート

1.ガモウ・フェデラルアートプログラム


HECPー「蒲生三丁目の家」は“クラウド上の学校”であり、自己学習により運動は展開される。大阪市城東区蒲生三丁目には、自由に見学できる“小さな家”を置いている。HECPのオープンでトランスペアレンシーなインスタレーションアートが、様々な地域においてもシェアされ、無名の人々の小さな創造性がカタチとなって生まれてくるのである。そのモデルになったのは、 “クラウド上の学校”自己学習の提唱者、 認知科学やA.I.の研究者であり、「Hole in the Wall」というプロジェクトの開発者でもある 教育科学者のスガタ・ミトラ氏によるスラムの街角にコンピューターを置いて、子どもたちに自由に使わせる自己学習アプローチによるものである。ミトラ氏は インターネットによって画一化を旨とする教育システムがやがて消滅 すると予言する。そのとき社会はいったいどんな姿をしているのだろうか。

ガモウ・フェデラルアートプログラムの最初の目標は、仕事のないチャレンジドー「高齢者」や「障害者」、「子育て世代女性」をアートトレーニングとアートマネージメントで、コモディティとしてのアート作品を公共施設以外に属する、スーパーマーケットなどの商業施設や企業にBtoB供給し、既存のマーケットとは異なるもうひとつのマーケットを創出することである。市民にアートに接する機会をより多く与えることだけに留まらず、地区全体のミュージアム化を推進し、「食べるアート」ーエディブル・ランドスケープとして機能させる。その後、ガモウ・フェデラルアートプログラムは地区全体がアートを目的としたホームステイやホームビジットにより、世界中から日本にやってくる外国人旅行者を我が家に招き、普段のお家ごはんを一緒に食べながら交流を図り、地区を活性化させることでアートが芸術や鑑賞の領域を一次元超えた地区全体の戦略的プレゼンスを担うことになる。

ガモウ地区が存在する大阪は都市規模としてはおよそ200万都市、生活保護や移民も多くて、ここでは非常に多くの問題を抱えた疲弊地区をターゲットとしたサステイナブルシティ政策を展開している。ガモウ地区は大阪の中でも住環境や治安もかなり悪いエリアである。そこでやっているのが廃棄される家電製品を引き取って、アートとして、アップサイクルなアートリノベーションを行うというプロジェクトだ。廃棄されたパーツやアッセンブリをアーツアンドクラフツを施し、コンバージョンされた作品は、BtoBで店舗や企業にディスプレイオブジェやデジタルサイネージとして販売される。この修理をする人たちで雇用を創出して、そこの地区の高齢者や障害者などのチャレンジドをはじめ、失業者やプレカリアートを吸収する。家電以外でもダンボールなどの梱包材を資源としたロボット型の様々なキャラクター立体POPが展示されている。また、ダンボールのショーカードやプライスカードなどのハンドメイドPOPのトレーニングも行なわれ、一枚100円のアートワークを企業に対してのアプローチとマネジメントを行っている。特に女性や障害者のホームワーキングの強化を目指す。これはたしかに廃棄の量を減らしてリユースを促進するという意味で循環型社会に貢献していて、しかも社会的な面では失業を減らしている。経済的にはそれがこの疲弊地区の一つの経済活動になっている。たとえば、こういう循環型社会を構築するための家電リサイクルというときに、一番手間が掛かるのがゴミなどを回収・分別していく作業で、これにものすごい人手間が掛かる。たとえば、これを省力化する技術を開発すると、かえって失業が増えてしまったりする。ここでは廃品の回収から雇用を創出するという方向で循環型社会を構築していく。ゼロエミッションで全て資源化することで、 街中のゴミがなくなる。そういうところが、いわゆるサステイナブルシティの統合的なアプローチとして重要になってくる。

これがヨーロッパでいう統合的なアプローチということになるわけだ。

0コメント

  • 1000 / 1000