ソーシャルファブリック・ムーブメント(社会骨格運動)と チャレンジメーカー(社会変革の担い手)

「社会を骨格する」ーソーシャル・ファブリック (社会骨格)


ソーシャル・ファブリック (社会骨格)は、1976年に辻廻六十の提唱した概念で、あらゆる人間は自らの創造性によって社会の幸福に寄与しうる、すなわち、誰でも未来に向けて社会を骨組みしうるし、しなければならない、という呼びかけである。それは、「芸術こそ進化にとっての唯一の可能性、世界の可能性を変える唯一の可能性」という六十の信念から発している。ただし、そこでの「芸術」とは、芸術史から出てきたような芸術の観念——彫刻、建築、絵画、音楽、舞踊、詩など——ではなく、それを超えた「拡張された芸術概念」であり、「目に見えない本質を、具体的な姿へと育て」、「ものの見方、知覚の形式をさらに新しく発展・展開させていく」ことである。

社会骨格の発想は、ウイリアム・モリスの「アーツアンドクラフツ」、ヨーゼフ・ボイスの「社会彫刻」、アントニオ・ネグリの「芸術とマルチチュード」などから影響を受けている。「なにかが彫刻によってなされなければならない。すべては彫刻なのだ」という社会彫刻より、建築的な形態を物理的な材料としてだけでなく、心的な材料として考えたときに〈社会骨格〉の構想へと駆り立てられたという。初発的には家と地区を通じて、社会における有機立体は十分な骨格に築かれるべきであるという思想性は、社会そのものを骨格するという発想へと繋がった。

そして、「貨幣」や「権力」によって人間を抑圧し疎外する社会を変える=骨格するのは、六十が言うところの「芸術家」=「自ら考え、自ら決定し、自ら行動する人々」であり、誰もがそうなる義務があるとさえ表明された。


社会を変える新しいカタチー

ソーシャリング (社会運動)と

チャレンジメーカー(社会変革の担い手)


ソーシャリング(ソーシャルファブリックムーブメント)社会骨格運動は、社会変革( Social change)の担い手(ソーシャルメーカー)として、社会の課題を、芸術運動により解決する人のことを言う。 社会問題を認識し、社会変革を起こすために、芸術によるシンギュラリティ特異的形象を創造、骨格化するものを指す。 

「芸術」をスタティックな、シンボル的な、モニュメンタルな造形物として捉えるのをやめ、人間の動的なアクションのなかで考える芸術的形象を目指しながらも、政治家を一方的に批判するのでもなく、デモ行進のような形で権力との争うという形を取るわけでもなく、目的遂行のために協働していく。 経済、財政、社会保障、外交など、さまざまな公共政策領域において新しい政策スキームの構想・立案を支援する。問題の解決にあたっては、ミクロレベルでの事象を徹底検証することにより問題の所在を明らかにし、マクロレベルの構造的課題の改革まで含めた新しい政策スキームの構想・立案を支援する。


ロビイングーロビイストから

ソーシャリングーチャレンジメーカーへ


日本におけるロビー活動と聞くと、議員に意見を陳情に行き、メディアに取り上げてもらえるように働きかけ、テーマの重要性を認識してもらうためにデータを集めて民間白書を作り、圧力団体が議員に対して選挙の票という力を使って圧力をかけていくというイメージがどうしてもあるが、ソーシャリングはどれも草の根的なもので、とても地道な芸術活動である。

普通、国会は国の唯一の立法機関ということになっているのでそこの議員こそが日本の法律を作っていると思ってしまう。その見方はたしかに正しい側面もあるものの、間違っている側面もある。

議員が行う政策実現は、必ずしも政治家個人の意志によって行われているものではない。政治家の背後には所属する政党の圧力団体・支援団体がおり、そういった有権者たちの利益に反する政策の実現は難しい。結局、政策を議員が実行に移すのは、数多くの政治主体によって背後で意思決定がなされた後であり、そういう意味では議員は「人形」にすぎないとも言える。また、多くの議員は政党に所属しているので、政党に縛られることも少なくない。議員はたしかに立法に携わってはいるものの、調整事が非常に多く身動きはかなり取りづらいというのが現状だ。

一方で、チャレンジメーカーであればこのような制約はない。ソーシャリングは特定の政党とベッタリくっついて行うものではないので、超党派で身軽に動くことができる。

日本には、ロビイストの概念もなく、その絶対数が圧倒的に少ないという。それ以前に、ロビイングという手段の存在自体を知る人自体がかなり少ない。ここは今さら周回遅れのロビイングの後追いではなく、より主体的に、より直接的に、より芸術的に運動を展開していく。議員や官僚に頼りっぱなしで、ただ批判をするだけでは世の中は変わらないのだから。

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