<“蒲生三丁目の家=HECP0357”インスタレーションアート展>
ーGoRE2017開催
「家」と「地区」の再構築ー
不用な「部品」の転用により出来上がった
「家」もまた、一つの「部品」に過ぎない。
アッサンブラージュの原点は、「寄せ集めること」と「未完全であること」である。アッセンブリー(部品)を本来とは違った方法で使用することによって、使用者の主体性を回復しようとする試みであり、それは「転用=ずらし(ディトルヌマン)」と呼ばれる。
HECP0357-アウトアートとしての
“ポップボックス”と“レッドハウス”
“ポップボックス”とは、制度的な倫理や主要なイデオロギーに頼らず、様々なところから集めた断片を統合して、独自の生き方の道筋や美学を作り出す『ハコ』を意味している。文化の制度的な思考の枠組みやグローバルな資本主義や情報網による物神崇拝に抵抗して、「いまここ」の実質的な条件や要求に応えながら、独自の知覚や創造の場を見いだし、確保しようとするその姿勢は、個人の自発的な決定能力の、つつましいが力強い主張を示すのである。と提唱している。
“ポップボックス”というアウトアートは、既存社会の対立概念ではなく、相関した透明なレイヤーのような〝築層〟における独立概念としての位置づけなのである。しかし、既存には実際にそうした運動を起こせるオルタナティヴなアーチストは存在しない。私たちは独自の〝創造の場〟=ポップボックスの実現可能性に対しては、無名と疎外の領域からアプローチするのが合理的であると考えている。
HECP0357は、アウトアートのキュレーターやインキュベーターとしての機能をはたす。しかし、無名の失われた人々による、反知性のプリミティブな表象に対して、技術的なトレーニングは一切行わない。私たちの使命とは、彼らが既存の制度や権威からの差別や嘲笑に対する、オルタナティヴな思想的バックグラウンドを整備することにある。0357はいつでも自由にクリエイティブできる。オープンもクローズドもない。なぜならここは彼らのパブリックネスな〝家〟(re)d-houseであるからだ。リ・コンシャスのアーツアンドクラフツのその核心はマイクロポップという、単なる“部品”であり、それ自体に「芸術」というクオリアは存在しない。私たちは「芸術」をスタティックな、シンボル的な、モニュメンタルな造形物として捉えるのをやめ、人間の動的なアクションのなかで考え、世界中で群発的に圧倒的なパラダイムシフトを呼び起こすことにあると規定している。ここを踏み外すとモリスのアーツアンドクラフツやボイスの社会彫刻のパラドクスに陥ってしまう。GoRE2017-HECP0357では、無名な人々の〝アッサンブラージュ〟により、モリスが目指した〝レッドハウス〟の理想を現代に表現しているのである。
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