『十三東の家』ーHECP-ホームエレクトロニクス・カフェ2201

世界に先駆けて入店法が実施された『家』。


十三東の家は会員制でもなく、高級レストランでもない、もちろんドレスコードなどもない。モダンアートなインテリアの空間で普通にお酒や料理が楽しめる「家」である。一般の「客」が、来訪時にチャイムを鳴らし入店の意志とあいさつを行い、オートロックを解除を確認してから部屋に向かうスタイルだ。

1995〜2005年の10年間インスタレーションアートとして継続的に運営された高層アパートメントの『家』である。一見の一般の客に対しては“JUSTICE”という、ユニークなサービスコンセプトがある。1995年から始まった、お客様のマナーレベルに応じて公正にサービス。マナーレベルの高いスマートなお客のみに客層をセグメントし、家と同じように自由にくつろいでもらいたいという考え方だ。また、料金面においてもご予約やノースモーキングのお客に関しては精算時においてのディスカウント、逆に、携帯電話の使用や大声での談笑などの他のお客や近隣住民ご迷惑になる行為は全て「オプションチャージ」を設けている。また、あまりにもマナーレベルの低い客に対しては今後のご利用を断る場合もあるが、客はその人柄やマナー以外ー年令・性別・国籍・業界・地位等による差別を受けることはなく反対に、それらによる特典的サービスもない。

「十三東の家」の特色はオープンソースであるということがいえる。誰しもが自由に「参加」することが出来、プロジェクトを発展させていくことが可能なのだ。客は近隣や知人だけではなく、その空間性に興味を持った国内外の有名アーチスト、学者や社会学やジャーナリズムが多く来訪した。有名なタレントや文化人、大企業の社長や大学の教授だからといって全く特別扱いされることはなく、逆にその無名性が心地よい時間を過ごせることが結果的にリピートに繋がっていったのである。概して、本物のアーチストはマナーやモラルもよく、たいへん謙虚で真摯な対応だ。しかし、広告代理店などの一般的に「業界」と呼ばれる層は特権意識が強く非常に厄介だ。過去にもマスコミメディアがドキュメントを作りたいといってきて、私たちに協力しているので参加費は払いたくないと言ってきたが、私たちは彼らの参加を断りました。このプロジェクトの触媒性を保つためには、内部に特権的な人間を作ってはいけないという考え方によるものだ。

0コメント

  • 1000 / 1000