「人を殺してはいけない」という『法律』がないからといって、「人を殺していい」ということにはならない。なぜなら、人生とはそういう『芸術』だからだ。
他人に冷たい日本と高い自殺率
世界有数の自殺国、日本
日本は世界有数の自殺国である。日本は171カ国中17位に位置づけられており、人口10万人あたりの自殺率は18.5。男性は26.9、女性は10.1となっている(2012年)。男性の方が失業や離婚時に負荷が高く、女性は家族や社会に保護されるのに対し、男性は社会的に孤立を余儀なくされるからではないかとされている。
見知らぬ他人を助ける人助け指数が自殺率と有意な相関がある。
人助け指数が高いほど、有意に自殺率が下がる傾向があることが分かる。当たり前かもしれないが、他人を気遣う人が多いほど、自殺率は低いのである。人助け指数がワースト2位である日本では、もしかすると、救える命を見捨てている割合が多いのかもしれないのだ。
国としての対応が効果的であるためには包括的な多部門による自殺予防戦略が必要であるとしている。有効な手段として、自殺手段へのアクセス制限、ヘルスケアサービス、地域の社会的支援を挙げている。
「おもいやり」とは、法律の問題ではない。
芸術の問題なのである。
国内でも、平成24年には自殺対策基本法に基づく基本指針として、自殺総合対策大綱の改訂が閣議決定され、引き続き次の3つの基本的認識が示されている。
* 自殺は、その多くが追い込まれた末の死
* 自殺は、その多くが防ぐことができる社会的な問題
* 自殺を考えている人は何らかのサインを発している
自殺は防ぐことができる社会的問題なのだ。人助け指数が自殺率と有意な相関を持っていることと併せて考えれば、皆が少しだけ周りに目をやり、悩んでいる人に手を差し伸べるようになれば、きっと自殺はずっと少なくなるだろう。自殺対策基本法では「国民一人ひとりの気づきと見守りを促す」としている。
これは、「おもてなし」などと実体の伴わない上っ面の言葉に踊らせれている日本人に対する警鐘でもある。
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