イギリスの持続可能性についてのイノベーターである、サラ・セヴァーン氏の
『青年期に公益を考えるゲームをする』はたいへん興味をそそられる未来像だ。
HECPは「芸術」をスタティックな、シンボル的な、モニュメンタルな造形物として捉えるのをやめ、人間の動的なアクションのなかで考えようとする思想が背景にある。
つまり、『幼少期から、人権・環境・共同・公共を考えるアートを表象する』といえる。
イタリアのレッジョ・エミリアアプローチのように、アートやモノづくりを通じて高齢者や障がい者たちの「家」づくりに子供たちが集まって参加するというスキームだ。従来の教育や地域づくりとは根本的に異なるアプローチである。
“クラウド上の学校”自己学習の提唱者であるスガタミトラ氏によるスラムの街角にコンピューターを置いて、子どもたちに自由に使わせる自己学習アプローチを踏襲するものである。
「レッジョ・エミリア・アプローチ」
『戦後間もない時期に北イタリアのレッジョ・エミリア市で、地域の共同保育運動として始まったこのアプローチは、理論と実践の両面に優れた教育家ローリス・マラグッツィの指導と、市当局のバックアップによりその基礎が築かれました。現在市内には21の「幼児学校」(3-5歳児)と13の「乳児保育所」(0-2歳児)が開かれています。
人口わずか14万人の地方都市に起こったレッジョ・アプローチが、世界的な評価を受けるようになったのは、1991年ニューズウィーク誌に「最も革新的な幼児教育」として紹介され、また『子どもたちの100の言葉』と題した作品展が、東京をはじめ世界各地で催されるようになってからです。来場した世界の教育家やアーチストは、レッジョの子どもたちの高度な表現力と独創的な思考力に目を見張りました。子どもの思考・表現が、一つの世界観にまで高められたメッセージとして見学者に伝わったからです。
レッジョ・エミリアの教育は、子どもと大人の双方が創造性を発揮し、美的で探求的な活動をとおして共に学び、育ちあう関わりを形成することにあります。しかしそれは狭義の芸術教育ではありません。ましてや大人の知識・技能を子どもに教え込むことでもありません。子どもたちは身振り手ぶり、言葉、そしてアートを使って自らの思考や感情を表現し伝達する独立した個人として育ちます。
しかし、その能力が表面化し開花するには、自発的なコミュニケーションのチャンスが与えられる必要があります。そしてコミュニケーションには相手が必要です。親や保育者が、子どものさまざまな表現に対して「見る目・聞く耳」を持ち、同じレベルのコミュニケーションで応答する「術」を体得して初めて、子どもたちは創造性の全エネルギーを開花させることができるのです。
レッジョ・エミリアの教育は、このような「子どもに波長を合わせたコミュニケーション」が成り立つために必要な保育環境・スタッフ養成・育児支援が実現可能であること、そして実践を積み上げることによって誰の目にも明らかな能力の違いが作り出されることを証明しています。一定の教具やカリキュラムにそって決まったとおりのことを教えるのではなく、子どもと保育者がじっくりとコミュニケーションを取り合いながら、ユニークなカリキュラムを協同で創り出して行くのがこのアプローチの特色です。
レッジョ・エミリア市では各種の研修会が定期的に開かれ、幼児教育の世界的な研究センターを形成しています。北欧三国をはじめとするヨーロッパ各国はもちろん、北米やアジア各国からも多くの教育者がレッジョを訪れます。
保育園キディも20007年秋からスタッフをイタリアでの研修に派遣しています。その他カリフォルニアのThe Growing Place保育園、コロラドのBoulder Journey School保育園など、アメリカでのレッジョ導入に指導的な役割を果たした先進園も訪問し、日本で幼児教育を進める上での参考としています。
日本国内での教育実践はまだ始まったばかりで、参考になる書籍もわずかです。インターネットで見る限り、半日保育のプリスクールなどで取り組みがありますが、全日の認可保育園での実践例はないようです。』
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