「オープンで集合的(コレクティブ)なイノベーション」

『2052年頃には、「オープンで集合的(コレクティブ)なイノベーション」というこの新しいパラダイムが、企業の活力、言い換えれば、経済競争より健全な経済的適応のアプローチを生み出す手段となるだろう。最も適応する企業、つまり生き残る企業は、他者と協力することの出来る企業である。多くの企業や組織は、資源不足、激烈な競争、その企業に批判的なNGO活動に対処する能力をもっと向上させる必要がある、誤った事業の方向性を直ちに修正できるようにするため、企業の体力を強化したり、弱点を直したりし続けなければならない。2052年に生き残っている企業のほとんどは、このような能力を身につけているだろう。持続可能な社会実現に向けたイノベーションは、単なる技術革新ではない。社会は個人の行動、文化、習慣に変化をもたらすために、ローテクの穏やかなイノベーションも必要とする。すでに私たちは、ハイテクでローエネルギーの公営住宅をたてても、居住者が正しい使い方を知らなければ省エネに結びつかないことを知っている。

ハイテクの革新なしに環境にやさしいライフスタイルを実現するもうひとつの方法は、共同消費である。それは、ネットのピア・ツー・ピア市場で個人が私有物の交換、共有、取引、賃借を行なうというものだ。2052年から現在を振り返れば、人間はなぜこれほど多くのものを所有していたのかと思うことだろう。ほとんどのものは使われず、食器棚や物置にしまいこまれている。

また社会の革新は、共通の目的の下に集い、協力しあう人々の力を自然な形で利用するだろう。

しかし、誤解してはいけない。この革新をもたらし、地球の未来を変えようとしているのは、インターネットではなく、それでつながった人間なのだ。

恊創イノベーションは、始まったばかりの本物の革命である。ソフトウエア開発では、オープンソースの方式をとることができるとわかっただけでなく、複雑なシステムを設計するうえで非常に効果的だということが、過去20年で実証された。何千人、時に何万人もの人が、共通の目的のために力を出し合うのだ。』

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