社会的・歴史的現実を総体としては把握していくためのツールが史的唯物論なのである。それは、生産様式が、つまり社会の経済的構造が社会や歴史を根底から規定するという理論(作業仮説)である。
「たとえ石ころのように黙ってじっとしていても、われわれの受身の態度そのものが、すでに一つの行動である。」このように、社会に背を向けて生きる場合でさえも、それは社会に対する一つの関わり方であり、一つの社会的立場をとることなのである。
そして、自己の存在仕方についての全面的な責任者である人間は、社会に対する自らの関わり方、自らのとる社会的立場に対して責任がある。このような事実を認識し、自覚的に自らの立場決定をおこない、社会へと参加していくこと、そしてこの「立場決定」のありかたにはっきり責任をとっていくこと、アンガジュマン(社会参加)なのである。
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