「グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命 」
選挙戦では、社会について語る場面では、真実を口にしていたのはトランプ氏の方だった。
フランスの人口学者、エマニュエル・トッド氏。 これまで数々の歴史的変化を予測してきた。 ソビエト連邦の崩壊。 アメリカの影響力の衰退。 そして、アラブの春。 今、 ヨーロッパではEU内での経済格差が深刻化。 アジアでは中国経済減速 ... 。
そして、ドナルド・トランプ大統領である。
彼は今年夏、米国に滞在し、10月初め、日本での講演で「トランプ氏とクリントン氏の勝率は半々だ」と言ったのである。彼の当選を予言したというより、可能性を指摘したわけである。歴史家として見るなら、起きたのは当然のことだ。自由貿易と移民が、世界中の働き手を競争に放り込み、不平等と停滞をもたらした、と人々は理解し、その二つを問題にする候補を選んだ。有権者は理にかなったふるまいをしたのである。 奇妙なのはみんなが驚いていること。本当の疑問は「上流階級やメディア、大学人には、なぜ現実が見えていなかったのか」だ。
選挙戦では、社会について語る場面では、真実を口にしていたのはトランプ氏の方だった。
彼は「米国はうまくいっていない」と言い、「米国はもはや世界から尊敬されていない」とも言った。彼は同盟国がもうついてこなくなっている事実を見ている。そこでも真実を語ったのである。
クリントン氏は、仏週刊紙シャルリー・エブドでのテロ後に「私はシャルリー」と言っていた人たちを思い出させる。自分の社会はすばらしくて、並外れた価値観を持っていると言っていた人たちでだ。それは現実から完全に遊離した信仰告白にすぎないのである。
トランプ氏選出で米国と世界は現実に立ち戻ったのです。幻想に浸っているより、現実に戻った方が諸問題の対処は容易である。
エマニュエル・トッドの結論
先進国が危機から脱する出口が見えない状況は、リーダーが凡庸というだけでなく、社会の中間層、中核をなす人々の、自分さえ良ければいいという “エゴイズム” 自己満足の強い “ナルシズム” から生まれています。そこに問題がある。
この状況を本当に打開するためには、今更のように聞こえるかもしれませんが「善き人生とはどういうものか」という根本的で倫理的な問題について考えるべきである。そして各国が、あるべき姿を模索していかなければならない。
日本の最高の長所は日本の問題点であると言える。日本の問題は、完璧を求めることに固執しすぎることである。
日本が出生率を上げるために女性のより自由な地位を認めるためには、不完璧さ、無秩序さを受け入れるということを学ぶべきである。
子供を持つこと、移民を受け入れること、移民の子供を受け入れることは、無秩序をもたらします。私が思うに、日本は最低限の無秩序を受け入れることを学ぶべきである。
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